トラブルは「心変わり」で起こる
ただ、この方法には弱点があります。それはB子の心変わりです。
遺言は何度でも変更が可能です。そのため、「A男さん。わかりました。あなたの大事な子どもですものね。私が死んだときには、C男さんに遺贈する旨の遺言書を書くから安心してくださいね」と言っていたとしても、A男が他界した後に、「んー。やっぱり、私の可愛い姪っ子に全部相続させちゃおう」と、約束を破り、遺言書の内容を変更してしまうかもしれません。
また、B子が約束通りの遺言書を作成したとしても、B子の兄弟姉妹がそのことを良く思わずに、B子の相続のときに遺言書を破棄してしまうリスクもあります。こうなってしまうとC男は遺産をもらうことができなくなってしまいます。
それでは、A男が遺言書に、「私の遺産はB子に相続させるが、B子が亡くなったときの遺産は、C男に相続させる」と書いたとします。しかしこれは、現在の法律においては無効とされています。
遺言の力では、次の相続まで指定することはできないのです。
この問題を解決する方法として近年注目されているのが家族信託です。家族信託とは、その名前の通り、特定の財産を家族に信じて託す契約のことをいいます。詳しい説明はここでは割愛しますが、この信託契約を使えば、A男からB子、B子からC男に相続させるという流れを、あらかじめA男が決めることが可能です(これを受益者連続型信託といいます)。
ちなみに家族信託に関するプロフェッショナルは司法書士です。弁護士でも詳しい方はいますが、登記が頻繁に絡むので、司法書士のほうが詳しい傾向にありますね。
いずれにしても、後妻と前妻の子の間柄は、争族が発生しやすいことは否めませんので、早めに何かしらの対策を講じておくことをオススメします。