交渉上手Photo:PIXTA

交渉の際に欠かせないのは、相手の立場に立って考えてみること。相手は相手なりの合理性に基づいて交渉に臨んでいると理解するだけで、突破口は見えてくる。このたび新著『交渉上手』を上梓した弁護士の嵩原安三郎氏が、相手の本当のニーズや目的を見抜き、交渉をお互いに満足度の高い結果に導く方法について解説する。

「相手は合理的」という前提に立つ

 交渉では、相手の立場からものを考えることが欠かせません。

 まず前提として大切なのは、「相手は、相手なりの合理性に基づいて話しているんだ」という認識を持つこと、そして「相手の合理性は、どこにあるのか」と考えてみることです。

 先日読んだ本に「第二次世界大戦の日本軍の作戦は、すべて合理的だった」という話が書かれていました。

 玉砕必至の無謀な作戦が合理的だったとは、いったいどういうわけでしょうか。

 ここでカギとなるのは、「誰にとって合理的だったか」という視点です。

 あとから客観的に見れば、圧倒的不利な戦局にもかかわらず、撤退せずに進軍を続けるのは、議論の余地がないくらい不合理です。