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前回は、現状を把握するポイントとして、優秀なセールスパーソンの質問の仕方を紹介した。今回もこのセールスの場合の続きとして、相手から「さらに情報を引き出すための言い回し」について見ていこう。
米国の大学やハーバード・ビジネス・スクールで学び、総合商社で丁々発止のビジネスを行ってきた経験を踏まえて、現在、日本人の英語力向上とグローバル・リーダーの育成に携わる著者が、最新作『グローバル・モード』から抜粋してそのコツを紹介する。

さらに情報を引き出すための言い回し

 前回は、現状を把握するポイントとして、優秀なセールスパーソンの質問の仕方をシチュエーション別に紹介した。今回もこのセールスの場合の続きとして、相手から「さらに情報を引き出すための言い回し」について見ていきましょう。

・メール等のフォローでお願いする

 Thank you very much for emailing me about the challenges you’re facing. Could we go into more detail now?
 →メールで御社のチャレンジについて、共有頂きありがとうございました。もう少しディテールをお伺いできますか?

・事例を聞く

 相手が問題や懸念を話してくれるときは、「製造ラインで塗料が飛んで困るんだよ」「若手社員のモチベーションが下がっていて困っている」「ロールアウトするときにバグが発生する傾向がある」など、結果や表層を一般化して語ることがほとんどです。一歩踏み込み、具体的な事例を聞くことで、その背景や個別の事象を捉えることができます。

 Could you give us some specific examples?
 →実際の事例をいくつか教えて頂けませんか?(some=いくらか、any=ほんの少しでも・何でも、というニュアンス )
 Could you tell us when and how it comes up?
 →その問題はいつどのように表層化しますか?

・影響を聞く

 影響の大きさを知ることは、相手がどれくらい困っているのかという情報となります。端的に言えば、どれだけお金をかけて解決したいかが類推できます。周辺で起きている関連のある問題は、オプションや周辺商品のニーズにもつながるため、影響の範囲を知ることで、さらなるビジネスチャンスの可能性を把握できるのです。

 Did it cause any damage?
 →何らかの被害が出ていますか?(damageという言葉で被害状況を聞き出す ) 
 How did it affect your operations?
 →貴社のオペレーションにどのような影響を与えましたか?
 Did you incur any financial loss?
 →金銭的損失につながりましたか?

・原因を聞く

 問題や懸念に対する相手の真剣度がわかります。真剣であれば調査をし、原因の特定に至るか、それに近いところまで行なっていることが多いです。また、相手が原因についてどの程度の当たりをつけているかは、相手の理解度を示すため、こちらが提案する際の話し方や内容も調整できます。また、その話の流れで「XX社と話していて、原因はある程度把握できた」等、競合の所在もわかるかもしれません。

 Did you find the cause?
 →原因を発見しましたか?(原因が判明しているかを確認する ) 
 Do you know why it happened?
 →なぜ起きたかわかっていますか?
 Could you tell us when it started?
 →いつ始まったか教えて頂けますか?
 Are there any patterns?
 →何かのパターンがありますか?(パターンまで見えていれば、だいぶ理解が進んでいる  )

・これまでの打ち手を聞く
 原因を聞くのと同じ理由で、打ち手を聞くことも有効です。打ち手を聞くことは、顧客が今どの段階まで来ているのかを示す情報となり、同じ土俵に立つことができます。

 Did you try any specific measures to cope with it?
 →この問題に対して特に何か解決策を試されましたか?
 Could you tell us what you already tried and how well it worked?
 →何を試し、結果がどうだったか教えて頂けませんか?

 この段階で情報をいかに引き出せるかが、後々の「最善の提案」に関わってきます。「そこまで聞いたら悪い」「これを聞くのは失礼ではないか」などと躊躇しないでください。そもそも低文脈の環境において、質問はむしろ歓迎されるものです。あなたは顧客の悩みを解決するプロであり、生半可なヒアリングで的外れな解決策を示すことになる方が、よっぽど相手に失礼です

 あるいは、質問ばかりしていたら、製品説明の時間がなくなると心配する人もいるかもしれません。ですが、相手の窮状、裏返せばニーズを把握することこそが、効果的な提案のカギとなります。問題さえ正確に洗い出せたら、最悪、提案はメールでも事足りるぐらいなのです。思い切ってヒアリングに時間とエネルギーを使いましょう。