交渉は駆け引きではありません。「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」が成立すると、最上の交渉になります。今回は、4つの基本原則に立った「原則立脚型交渉術」から学んでいきましょう。
思考法から発想術、文章術、読書術、プレゼン術、図解術、交渉術、成功哲学まで、本当に使える仕事術を1冊に凝縮した新刊『ビジネススキル大全――2時間で学ぶ「成果を生み出す」全技術』より抜粋し、紹介していきます。
原則立脚型で交渉すると全員が満足
ビジネス上の契約や家庭内のもめごと、近隣とのトラブル、果ては国家間の和平協定に至るまで、多くの人は交渉を駆け引きだと思っています。それぞれの立場で正当性を主張しどちらが正しいかをジャッジし、多少譲歩することで妥結するのです。
そういう駆け引きの交渉には限界があります。自分の立場に固執すると双方の合意はどんどん遠のいていくからです。しかも、相手のなかに敵意を芽生えさせて交渉が終わるということもしばしば起きてくるのが駆け引き型の交渉です。
一方で、三方よしの交渉術を心がけると、すべての人が満足します。三方よしとは、「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」のこと。売り手と買い手がともに満足し、さらに社会貢献もできるというのが最上の交渉といえるのです。
原則立脚型の交渉をすれば、この「三方よし」が実現できます。
アメリカ人の交渉術はイメージとはまったく違う
アメリカ人はハードな交渉をしてくるというイメージがあります。勝つか負けるか、2つに1つというハードな感じを受けるのです。アメリカは契約社会ですし、裁判の多い国ですから、交渉が日常茶飯事であることは間違いありません。ビジネスの世界を描いたテレビドラマや法廷映画などを見ると、交渉の場ではタフネゴシエーターがどこまでも諦めずに交渉を続けたり、奇想天外なアイデアでトラブルを解決したりと、交渉上手なイメージがあります。サラリーマン時代、アメリカに転勤になり、現場の交渉の場に立ち会ってみて、アメリカ式の交渉術をしっかりと学ばなければと思ったものです。
しかし、実際に学んでみると、イメージしたものとはかけ離れていました。お互いの立場を主張する駆け引き型の交渉ではなく、「原則立脚型」の交渉術こそが最上の方法だとされているのです。相手にも満足を与えることができるからです。まさに三方よしの交渉術だといえます。