約3年の月日をかけて、伝説の名著3部作・計4冊2000ページ超が1冊に凝縮された『最強のコピーライティングバイブル〜伝説の名著3部作が1冊に凝縮! 国内成功100事例付き〜』は高額書籍ながら発売以来7刷のロングセラーとなっている。鉄板の法則を「骨」とし、国内成功24業種100事例で解説した本書は、書店でもコピーライティングの定番書となってきた。
コロナ禍でDXやD2Cに注目が集まる中、ますますコピーライティングの重要性が高まっている。今回は、ある大学院のMBAで実践された興味深い事例を紹介しよう(2021年1月18日新春セミナー案内はこちら)。

コピーライティングは、リレーのアンカー役

 ビジネスを学ぶ手法は、読書、セミナー、研修など千差万別。

 だが、一気集中して学ぶ環境はビジネススクール(経営大学院)に勝るものはない。

 マーケティング、経営戦略、ファイナンスなどが体系的に学べるからだ。

 一定の学びを修了した得た者にはMBA(経営学修士)という称号が与えられる。

 国内では、早稲田、慶應、一橋をはじめ、数十校がビジネススクールを展開している。

 そのうちの一つ、横浜国立大学大学院(横浜ビジネススクール)は、日本一小規模なMBA教育を標榜している。

 各校の生徒が数百人近くの規模に対し、横浜ビジネススクールは10名以下しか合格者を出さない「日本一小さなビジネススクール」だ。

 生徒1人に対する教授陣の割合が最も多いことから、日本一濃密な授業が期待できる。

 2020年度は、数十倍の競争率をかいくぐって8名の社会人が入校した(夜間スクールのみ)。

横浜国立大学保土ヶ谷キャンパス横浜国立大学保土ヶ谷キャンパス

 11月下旬、同校を運営する経営学部長の谷地教授から筆者に、拙著『最強のコピーライティングバイブル』を教科書にコピーライティングの特別授業を開講してほしいという依頼があった。

 今回、なぜ依頼するに至ったかについて、谷地教授にインタビューしてみた。

谷地弘安教授(横浜国立大学経営学部長・経営学博士)谷地弘安教授(横浜国立大学経営学部長・経営学博士)

――ビジネススクールでコピーライティングを教えている学校はあるのでしょうか?

谷地教授(以下、谷地):私が知る限り、国内、国外とも聞いたことがありませんね。

 ビジネススクールでは、経営戦略、ファイナンス、組織戦略、そして私の専門でもあるマーケティングを体系的に学べます。要は「経営」を「管理」することが学べるのですが、「書いて伝える」ということはほとんど学ぶことができません。

――ビジネススクールでコピーライティングは不要ということでしょうか?

谷地:いや、そこなのです。

 私は「書いて伝える」ことこそが、社会人に必要な最大スキルの一つと考えています。我々教授陣が教えた理論が生徒にインストールできたとしても、それを企業に持ち帰って、「伝え、伝わる」ことなしにはまったく意味をなさないからです。

 私は、価値を伝えるMOV(Management Of Value)フレームの観点で、4つの要素を提唱しています。

 すなわち「探す(調査)」→「(コンセプトを)定める」→「(製品を)つくる」→「(価値を)伝える」というものです。

 最後の「伝える」が最も市場や顧客に近く、リレーの最終走者(アンカー)の役割だと考えています。

 アンカーがゴールテープを駆け抜けないと、完走にはなりませんからね。コピーライティングとは、そのアンカーの役割を担うと考えています。