約3年の月日をかけて、伝説の名著3部作・計4冊2000ページ超が1冊に凝縮された『最強のコピーライティングバイブル』は高額書籍ながら発売以来第5刷となり、コピーライティングの定番書になってきた。
その中身は、鉄板の法則を「骨」とし、国内成功24業種100事例で解説されている。
キャッチコピーのノウハウは、
最高の企業秘密だ
CRMダイレクト株式会社代表取締役
横浜国立大学大学院博士課程前期経営学(MBA)修了。「使えなきゃ意味がない」を信条に、使えて成果につながる戦略立案を徹底的にたたき込む日本唯一のプロフェッショナル・マーケティングコーチ。企業や受講者の課題点をすばやく摘出し、短時間で確実な成果へと引き上げる「超訳力」を駆使したマーケティング研修講座は、上場企業ホールディングス、政府系金融機関、欧州トップの外資系金融企業、意欲ある中小企業経営者等からの依頼が絶えず、これまでの受講者はのべ2万人を数える。著書に、『最強のコピーライティングバイブル』(ダイヤモンド社)など。2016年10月から横浜国立大学非常勤講師(国際マーケティング論)。横浜国立大学成長戦略研究センター研究員。
【CRMダイレクトHP】http://www.crm-direct.com/
「A/Bテスト」って、聞いたことあるだろうか?
広告業界の方には馴染みがあるフレーズだが、実は一般の方にも関係が深い。
というか、我々誰しもがその「A/Bテスト」に参加させられてしまっている。
ネットやスマホで見る広告のキャッチコピー。これは絶えず2種類のキャッチコピーが展開されている。
片方をA、もう一方をBと分けて配信し、広告主はどちらの反応がいいかカウントしているのだ。
このA/Bテスト、時には数倍の違いが出ることがある。例を挙げよう。
クックパッドという無料レシピサイトがある。
無料サービスの先には、月額有料サービスの「プレミアムサービス」が用意されている。
企業としては、当然ながら、無料サービスで試してもらい、有料サービスにつなげていきたい。
このサービスは100万人に利用されていて、満足度が高かった。
そこでメルマガで数種類のコピーをテストし、クリック率をカウントしたところ、大きな差が出た。
あなたなら、どちらの反応がいいか予想つくだろうか。
答えから言うと、反応がいいのは、Bの「96%が効果を実感」だ。
Aの「100万人が使っている」の約2.5倍の結果が出ている(出典:ライアン・ホリデイ『グロースハッカー』日経BP社)。
「へぇ〜」という声が聞こえてきそうだが、大事なのは、どうしてその差が出たかを分析して次に生かすことだ。
以下は筆者の分析だ。
Aの「100万人が使っている」は「絶対評価」なので、100万人が多いか少ないかわからない。
一方、Bの「96%が効果を実感」は「相対評価」なので、圧倒的多くの支持を得ていることがわかる。
実際、筆者がテストした数多くの他の結果からも、数字を使う場合は「相対評価」の方が高反応だ。
このノウハウを知っているかどうかで、2倍以上の差をつけられる。
しかしながら、上記のA/Bテスト結果はたまたま書籍で公開されているが、この手のノウハウは、大事に社内や関係者にしまい込まれて、めったに外には公開されない。文字通り企業秘密なのである。
不思議ではないか?
「キャッチコピー」は、目に触れてもらうために公開性が強い。
ところが、どちらがなぜ反応いいのかという「ノウハウ」は、極めて秘匿性が高い。
そう、キャッチコピーは「公開性」と「秘匿性」というパラドックスを抱えているのだ。
拙著『最強のコピーライティングバイブル』では、世界でロングセラーを続けている、コピーライティングの3大名著で導き出された膨大なA/Bテストの結果を法則化し、そのコピー法則を国内24業種100事例で立証公開しているので、「コピー事例(公開性)」と「ノウハウ(秘匿性)」を一挙両得で公開している。
文章スキルは先天的要素が強い。つまりセンスが求められる。
しかし、売れる文章スキルは、後天的に身につけることができる。
後天的に身につけるためには、再現性のための「法則化」が必要だ。
そして、法則をイメージする「事例化」もまた必要になる。
今回は、書籍では触れなかった筆者の最新A/Bテストの事例と法則をひとつ紹介しよう。