中小企業の生産性アップは、日本経済の活性化にどれだけ寄与するだろうか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

将来を左右する選択の視座
赤字の縮小か、黒字の拡大か

 受験生は、受験を間近に控え、苦手な数学に力を入れるか、得意な英語を伸ばすかと、今後の計画を考える。学校の教師は、出来の悪い生徒の面倒に時間を使うか、優秀な子どもをさらに伸ばすことに時間を使うかと、今後の時間配分を考える。どのような主体であれ、時間や予算が有限である以上、選択の視座は将来の期待度を左右する。

 経営の現場でも同じだ。エアライン業界では、赤字路線と黒字路線がある。赤字路線のテコ入れに経営資源を投入するか、黒字路線をさらに強固にすることに専心するかを考える。小売業界でも同様で、赤字店舗に目を向けるか、黒字店舗をさらにドル箱にするかを考える。

 構造改革というプロセスでは、ダメな路線や店舗に目が行きやすい。しかし、まともな経営者であれば、大きな赤字路線や赤字店舗にはすでに手を付けている。今なお残っている赤字路線や赤字店舗の赤字額自体は微小だ。これらの赤字を失くしても、全体の収益は大きく浮上しない。

 経営コンサルティングの現場で遭遇するのは、過去のドル箱路線やドル箱店舗が普通の収益性に低下した状況だ。普通の収益性となっているため、これらの「かつてのドル箱」は構造改革のレーダーから外れる場合が多い。うまく隠れることができるのだ。

 過去を遡ると、エアラインでも小売でも、全ての路線や店舗が平均的に稼いでいたわけではない。限られたドル箱路線やドル箱店舗が、全体を引っ張っていた場合が多い。大事なことは、ダメな路線や店舗に対してではなく、「ドル箱」復活に経営資源を投入することだ。