希望・早期退職者の募集が増加
懸念される組織能力の低下
コロナ禍の下、多くの企業が希望・早期退職という最後のカードを切り始めている。
東京商工リサーチによれば、希望・早期退職者の募集をした上場企業は、(10月29日時点で情報開示もしくは具体的な内容を確認できたものだけで)72社に達したという。これは昨年同時期の2倍以上であり、70社を超えたのはリーマンショック後の2010年(85社)以来となる。また、希望・早期退職者の募集人員は1万4000人強と、昨年度を上回っている。
企業としては生き残りをかけ、断腸の思いで希望・早期退職者の募集に踏み切ったと思う。しかし、企業の労働者たちは、歴代の経営者が採用・育成してきた人材であり、希望・早期退職者の募集は、経営責任として非常に重い。
さらに重い問題は、希望・早期退職によってシニア層が削減されることで、組織能力が徐々に傷み、残った社員のモチベーションが低下することにある。