金融業界が恐れる男がいる。かつて金融担当大臣として、銀行の不良債権処理に大なたを振るった竹中平蔵氏だ。特集『銀行再編の黒幕』(全16回)の#3は、菅義偉首相のブレーンでもある竹中氏にインタビューし、独自の金融再編論を聞いた。
改革なくして地銀に未来はない
今こそ「危機宣言」を発令すべき
――地方銀行について「数が多過ぎる」「再編も選択肢の一つ」とした菅義偉首相発言をどう受け止めているか。
真意は総理本人に聞いた方がいいが、銀行はご承知のように1990年代以降に多額の不良債権問題を抱えたわけです。
この問題を処理しなければ前に進めない状況で、私は金融担当大臣としてまずはメガバンクに集中し、とにかく当時の金融危機に対応した(※1)。一方、地銀に関しては地域に密着した関係性を築きながら、改革はメガバンクの後に進めるという位置付けをした。
私は2年で金融担当大臣を離れたが、その間に大手の不良債権は一気に減りました。2年で半減させる目標だったが、4分の1になった。その意味で大手銀行の不良債権処理は、それなりにうまくいった。これには銀行側もすごく努力してくれたと思っています。
私は、その後の地銀改革を期待したが、この十数年間、地銀に関する政策はほとんど取られていない。その間に金融環境が大幅に変わってしまったわけです。
――どのような変化なのか。