新型コロナウイルスが猛威を振るい始めていた今春、世界経済に急ブレーキがかかり、企業の連鎖破綻が相次ぐとの懸念が広がった。だが、1年を振り返ると、コロナ危機は経済を思いもよらない方向へと動かし、一部の大企業は想定外の商機に恵まれた。ペット用品販売のペットスマートでは、犬のハイキング用ベストやトカゲ用のクリスマス衣装が飛ぶように売れた。映画制作大手ユニバーサル・ピクチャーズは、動画配信の台頭に向き合い、ハリウッドに大きな変化をもたらした。百貨店大手ニーマン・マーカスは、潤沢な金融支援を得て、破産法から脱却した。顧客情報管理(CRM)大手のセールスフォース・ドットコムのマーク・ベニオフ最高経営責任者(CEO)は、朝から晩まで続くズーム経由の会議に飽き飽きしながらも、遠隔勤務の社員をつなぐツールであるスラックを277億ドル(約2兆8600億円)で買収することを決定。遠隔勤務で多くのハイテク企業に追い風が吹く中、働き方の変化は今後も続くとの読みに賭けた。