隙間市場に過剰適応して
思考停止したワークマン

 当時、社長は強い危機感を持っていた。多くの社員も漠然とした不安を抱えていた。

 だが、具体的な戦略は持ち合わせていない。一つの分野、狭い業態で30年以上やってきた人たちは、なかなか別の将来を考えようとしない。成功して安定し、2位との差が大きいと前例踏襲になる。ワークマンは作業服というブルーオーシャン市場に過剰適応していた。競争のない海を40年間も悠々と泳いでいた魚だった。

 本書の中で「新規参入しても、巨大資本でない限り、ワークマンと同レベルの品質・価格・供給保証を実現するのは難しい」と述べたが、巨大資本であればどうか。おもいきって生産量を拡大し、将来のコスト削減を見込んだ低価格戦略を取ることができる。ブルーオーシャンに突如現れた外来魚に、これまで競争に不慣れな会社が勝てるわけがない。