そして、「生活保護の申請について、よくある誤解」の説明が続き、「扶養義務者に相談しないと申請できないわけではない」「すでに住居喪失していても申請できるし、施設入所は申請の条件ではない」「持ち家があっても申請できる」「必要な書類が揃っていなくても申請できる」という内容が並ぶ。

 内容自体は、生活保護の本来あるべき姿、「タテマエ」である。しかしこれらの内容は、運用の「ホンネ」の部分では、たとえば「別居している弟さんの同意がないということなら、申請は受け付けられません」という形で、申請を行わせない「水際作戦」に利用されてきた数々だ。それなのに厚労省の公式サイトは、「タテマエ」が実施されるべきであり、それに反する「ホンネ」は認められない、ということを発信し始めたのだ。クリスマスイブの2日前、クリスマスの3日前の、嬉しい驚きであった。

「自動車があっても申請できる」
若干、説明が足りないところも

 追加すべき点があるとすれば、「自動車を保有していても申請できる」および「働けるのに働いていない状態でも申請はできる」の2点であろう。特に地方において、「生活保護か車か」という究極の二択は、必要とする人々から生活保護を遠ざけてきた。

 ひとり親世帯なら「児童扶養手当」という選択肢も残されているのだが、利用が積極的に推奨されてきたわけではない。しかし、もともと車の保有については半年間の猶予期間が認められている。また、審査請求や行政訴訟では、車の保有や運転を認める決定が続いている。

 生活保護は、1950年に制度が発足した当初から、働けるのに働かないことを奨励して「惰民育成」の制度になる可能性が懸念されてきた。しかし、若く心身ともに健康で職業スキルや経験を持っているからといって、求職すれば仕事が見つかるとは限らない。求職者と求人の間の需給バランスは、時期や状況によって大きく変動するからだ。

 コロナ禍は、この当然の事実を誰もがわかる形で示し続けている。ともあれ、筆者は大声で、「車があっても申請できます」「『自分は働いて自活できるはず』と思っている方でも申請できます」と叫びたい。