海外ではすでに接種が始まっている。英国では12月3日、世界に先駆けて医薬品医療製品規制当庁(MHRA)が、ファイザーの新型コロナワクチンの緊急使用を承認。同8日から80歳以上の高齢者、医療・介護従事者に対し、優先的に接種が行われてきた。米国でもファイザー製は12月11日に、モデルナ製は同18日に、それぞれ緊急承認され、接種が始まった。

 中国やロシア国内でも昨年から接種を開始している。その他、世界保健機関が12月8日に出した「Draft landscape of COVID-19 candidate vaccines」によれば、世界で52種類のワクチンが臨床試験(うち12種類は第III相試験)に入っており、その他に162のワクチン候補が開発中だ。

 この調子なら数カ月のうちに、新型コロナも終息が見えてきそうなものだ。だが、現実にはそうすんなり行くかどうか。まだまだ未知の要素が多い。

未知その1:
アレルギー報道、実際どの程度のリスク?

 ここへ来て、ワクチンに対する慎重な見方が世界的にも目立ち始めている。少し前までは世界中がワクチンを切望し、その入手にヤキモキしていた。だが、人は待ち望んでいたものをいざ前にすると、すっと熱が冷め、不安要素に目を向け始める。

 早々にファイザー製のワクチン接種を開始した英国では、初日に受けた数千人のうち2人に重いアレルギー反応(アナフィラキシー)が出た。このニュースは瞬時に世界を駆け巡り、多くの人を立ち止まらせた。その後、米国でも接種開始後まもなく、アラスカ州の医療関係者3人を含む6人に同様のアレルギー症状出現が報じられている。これをどう受け止めるべきか。

 英国でのアレルギー報道に関しては、数千人に接種して2人(0.0数%)という頻度と、その2人には重いアレルギーの基礎疾患があったことに注目すべきだ。アレルギーはそもそも異物に対する過剰な免疫反応である。重いアレルギー体質の人であれば、ワクチンへの反応が出ても不思議はない。英MHRAは、過去にワクチン接種で重大なアレルギー反応が現れたことのある人は接種しないよう呼びかけた

 そもそもファイザーのワクチンは臨床試験でも、参加者に発熱、倦怠感、筋肉痛、頭痛が報告されている。こうした症状は通常は数日しか続かないため深刻な副反応とは見なされない。英MHRAは、臨床試験で2回目接種を受けた参加者数百人を少なくとも2カ月間は観察した上で、安全であるとお墨付きを与えた。

 韓国・国際ワクチン研究所のジェローム・キム事務局長によれば、以降、深刻な合併症はほとんど発生していないという(『Nature』)。数千人中その2人以外に重篤な副反応が特に聞かれないのであれば、かなり順調な滑り出しといえるだろう。

 また、米国では先月19日までに推定27万2001人にファイザー製ワクチンの接種が行われた。6例に強いアレルギー反応が出たが、英国以上に低い割合だ。1人は、狂犬病ワクチンでも同様の反応を経験していたという。(予防接種の実施に関する諮問委員会、ACIP

 米国疾病予防管理センター(CDC)は、ファイザー製ワクチンによるアレルギー反応についての特設サイトを開設。原因を問わずアナフィラキシーの病歴のある人は接種後30分、それ以外のすべての人も接種後15分、以下のような症状が現れないか経過観察を呼びかけた。

◎呼吸器:喉の閉鎖感、喘鳴(呼吸中の甲高い音)、息切れ、咳
◎胃腸:吐き気、嘔吐、下痢、腹痛
◎心血管:めまい、失神、頻脈(異常に速い心拍数)、低血圧(異常に低い血圧)
◎皮膚/粘膜:一般的なじんましん、かゆみ、または唇、顔、喉の腫れ

 さらに、ワクチン接種後の体調を調査するスマートフォンアプリ(Vセーフ・アフターワクチン・ヘルスチェッカー)も開発され、12月18日の時点で既に11万人以上が登録したという。登録者はアプリを通じて、接種後の副反応等の異変をCDCに報告でき、それに基づいて電話でのヘルスチェックと指導が行われる。また、2回目接種のお知らせもアプリに届く。