昨年は5月に年金改革法が成立し、公的年金の制度に関するいくつかの改正が行われたし、年末の税制改正大綱でも企業年金に関する見直しが盛り込まれ、年明け以降、具体的に政省令が作られることになる。ところが年金に関しては言葉の定義も含めて、その本質や仕組みについて大きな誤解が生じていることも事実である。
ひとくちに年金と言っても公的年金と私的年金ではその仕組みも性格も大きく異なるにもかかわらず、どうも議論がごっちゃになっているように思える。これがSNS上で交わされているようなまったくの素人の議論であればともかく、報道においても必ずしも正確な論点が認識されていないという状況もある。そこで年の初めにあたって、これらの年金制度の仕組みとその特徴を整理してみたい。
「公的年金」の本質は
貯蓄ではなく「保険」である
そもそも年金には「公的年金」と「私的年金」がある。多くの人は年金を老後に備える貯蓄のようなものだと誤解しているが、これまでも度々このコラムで取り上げてきたように公的年金の本質は「保険」である。保険は将来起こりうる不幸や不安に対して自分一人の力ではまかなえないことについてみんなで備えるというのがその目的だ。