「桜を見る会」前夜祭をめぐる問題で不起訴処分となり、記者会見する安倍晋三前首相「桜を見る会」前夜祭をめぐる問題で不起訴処分となり、記者会見する安倍晋三前首相(24日撮影) Photo:JIJI

安倍晋三前首相の後援会が「桜を見る会」前日に主催した前夜祭の費用補填(ほてん)問題で、東京地検特捜部(以下、特捜)は24日、政治資金規正法違反(不記載)と公職選挙法違反(寄付行為)の両容疑で告発されていた安倍前首相を嫌疑不十分で不起訴とした。後援会代表の配川博之公設第1秘書については、政治資金収支報告書に3000万円余を記載しなかったとして、政治資金規正法違反の罪で略式起訴した。特捜は一連の捜査を終結し、安倍前首相は刑事事件に問われることはなかったが、政治責任を問われるのは必至だ。(事件ジャーナリスト 戸田一法)

安倍前首相は関与否定、秘書は認める

 配川秘書の起訴内容は、後援会の2016~19年分の報告書に、前夜祭の参加者から集めた収入約1157万円、ホテルに支払った支出約1865万円を記載せずに山口県選挙管理委員会に提出したとされる事実だ。

 前夜祭は13~19年に桜を見る会の前日、東京都内の二つのホテルで開催された。参考までに、昨年の前夜祭には海外の要人も利用する「超」が付く高級ホテル「ニューオータニ」で約800人が参加。会費は5000円だったが、ホームページは「立食パーティーは1人1万1000円から」としていた。

 安倍前首相側が19年までの5年間でホテルに支払った総額は計約2300万円とされる。参加者の会費5000円との差額は安倍前首相が代表の資金管理団体「晋和会」が補填(ほてん)したとみられるが、後援会や晋和会には記載されていなかった。