「桜を見る会」問題で安倍前首相の影響力は失墜、菅政権は自由になった?Photo:Tomohiro Ohsumi/gettyimages

「桜を見る会」問題が突如、国民の目の前に再浮上してきた。菅政権になってからというものの、安倍政権時代は見えにくかった「裏の工作」のようなものが国民に見えるようになってきたといっていい。一体なぜか。(立命館大学政策科学部教授 上久保誠人)

「桜を見る会」補填問題、菅首相は突き放した

 安倍晋三前首相の後援会が、地元支持者らを招待して「桜を見る会」の前夜祭を開催した際に、参加者がホテルに支払う費用の一部を、安倍前首相側が補填していたことが明らかになった。

 安倍前首相の公設第1秘書が東京地検特捜部の事情聴取に対し、費用の一部を補填したことを認めた上で、「補填した分は政治資金収支報告書に記載しなければならないとわかっていた」と供述したという報道もある。特捜部は、公職選挙法と政治資金規正法に違反する疑いがあるとして、今後立件の可否を判断するとみられている。

 これまで、安倍前首相は、2019~20年の国会で、「安倍事務所側が補填した事実は全くない」などとした答弁を33回していた(本連載第226回)。野党は「虚偽答弁を続けた」と批判し、攻勢を強めている。

 菅義偉首相は、国会で問われると「前首相の関連団体のこと」と突き放した。真相解明のための安倍氏の参考人招致については「国会が決めること」と他人事のような態度だ。自身が官房長官だった時の対応についても「前首相に確認したことを話しただけ」とし、自分には責任がないとした。首相は、安倍前首相を冷たく突き放したように見える。