コロナ禍をはじめ、不確実性が高まる一方の2021年を、企業はどう生き抜くべきかコロナ禍をはじめ、不確実性が高まる一方の2021年を、企業はどう生き抜くべきか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

コロナだけではない
不確実性が高まる一方の企業社会

 コロナに始まりコロナに振り回された2020年が、終わろうとしている。これから始まる2021年に向けて、企業やビジネスパーソンはどのような心構えでビジネスに立ち向かえばよいのだろうか。

 最大のポイントは、極めて高い「不確実性」である。4年に1回、当たり前のように行われてきたオリンピックが、戦争以外の理由で行われなかったことは、これまで一度もなかった。まだ、東京オリンピックは中止にはなっていない。しかし、「2021年の夏にオリンピックを絶対行える」と自信を持って言える人もいないだろう。それほど不確実性が高い世の中が2020年に始まり、そして2021年も間違いなく続くということである。

 また、不確実性を高めているのはコロナだけではない。米中経済対立や英国のEU離脱のように、長年当たり前のように続いてきていたグローバル化も、異なる様相を見せ始めている。こうした世界経済の変化にも対応していかなければならない。

 こうした局面に、日本企業は上手く立ち向かうことができるだろうか。経営学者の立場から思うのは、日本の経営者はもっと「経営学」を上手く使うべきだということだ。

「経営学なんて机上の学問は現場では役に立たない」「MBAホルダーは頭でっかちなだけで使い物にならない」といった言葉は、企業の経営者や管理職から時々聞く言葉であるが、答えは「Yes and No」だ。

 経営学の成果の表層だけを移植して、同じことを仕事の現場で再現しようとしても意味はない。経営学のさまざまなフレームワークは分析には役に立つが、それ自体が戦略を生み出すものではないし、環境条件が異なれば同じフレームワークが使えるとは限らない。

 経営学を暗記科目のように表面的に学んだだけの活用は、先の言葉が示すように、現場の役に立たない。ある経営学の理論が成り立つ前提には、ある現場の外部の環境や内部の資源などの一定の状況が存在し、その前提が異なれば、全く同じ理論が適用できるわけではない。経営の現場とは毎回異なる因果関係の連鎖であり、1つの簡単なフレームワークだけで何でも分析できるのであれば苦労はしない。