早いもので、今年は春からずっとコロナで振り回されているうちにもう残すところあと2週間となってしまいました。そこで時節柄、来年の日本経済がどうなるかを考えてみたいと思います。
来年半ば以降の日本経済は明るい
私は、来年半ば以降の日本経済についてはかなり明るい見通しを持っています。その最大の理由は、既に英米で接種が始まっているワクチンが、「来年前半までに全ての国民に提供できるよう」になる(加藤勝信官房長官)のが期待できることです。
もちろん、こんな短期間で開発されたワクチンが本当に安全なのか、治験の対象が主に欧米人なので日本人に本当に効くのかなど、たくさんな疑問が頭をよぎるのは事実です。
それでも、ワクチンが日本でも出回れば、かなり多くの人に“必要になったらワクチンを接種してもらえる”という心理的な安心感を与えることになるでしょう。こうした安心感は、消費マインドに大きなプラスの効果をもたらすと期待できます。
加えて、勤労者世帯の家計所得と家計消費支出の推移を見ると、今年はもちろんコロナにより消費支出は大きく落ち込んでしまいましたが、その一方で、実収入や可処分所得はさほど落ち込んでいません(下図)。
多くの世帯はコロナを恐れて外出と消費を減らし、お金を使っていないだけなのです。逆に言えば、コロナさえ収まれば、使えるお金は十分にあるはずです。
そもそも日本の感染者数は欧米と比べて格段に少なく、また春になって気温が高くなればコロナウイルスも不活発になるであろうと考えられます。そこに加えてワクチンが出回れば、“リベンジ消費”ではありませんが、今年ずっと抑圧されてきた消費が一気に動き出すはずです。
そして、来年の夏には東京オリンピック・パラリンピックもあります。感染者数の増加に伴って来年開催できるのかといった懐疑的な声もありますが、私が収集している情報からは、どんな形になるかはともかく、東京五輪が開催される可能性は非常に高いと思っています。実際に開催されれば、外国人観光客の日本回帰も含め、消費はより一層盛り上がるはずです。
つまり、来年の春から夏ごろにかけてようやく“ウィズコロナ”が終わりに近づき、待ちに待った“アフターコロナ”が始まる可能性が高いと考えられるのです。