製品の使い方を
1分動画で発信する仕組み

御立:私は今後、ワークマンがどのようなメディアを活用して何を発信していくのかを楽しみにしています。
テレビCMは今でも日本の約4400万世帯に効率よくメッセージを届ける力をもっていますが、それ以外にもさまざまなメディアがあります。
たとえば、サポーター参加型のメディアを企画し、「この製品をこのオケージョンで使う」というのを1分動画でアップしてもらいます。
「自分は川釣りが好きで、このベストをこんなふうに使っている」などです。みんなが動画撮って見せ合うわけです。

土屋:製品開発、宣伝、接客までお願いするアンバサダー、製品発表会に参加したり、製品の使い方を広めてくれるサポーターという構成にするとおもしろいですね。

御立:お客様は何らかの目的があってワークマン製品を買います。その中に想定外の利用法があります。もしかしたらワーケーション的に2拠点居住している人が、庭でたき火をするときにワークマン製品が役立ったという情報が1分動画であるとうれしい。

土屋:アンバサダーの1人、ママさんキャンパーのサリーさんが溶接用の「綿ヤッケ」を紹介してくれたことがありました。
綿素材なので火の粉が飛んできても燃え広がらないのが特徴で、「すごくかわいい。たき火をして火の粉が飛んできても燃えない」と発信してくれました。

御立:そんなちょっとしたストーリーがいっぱいたまってくると、それ自体がエンタメでおもしろくなります。それには1分動画がいちばんいい。スマホで長時間動画を見ると疲れてしまいますが、かといってTikTokは短すぎます。1分動画だとちょうどいいのです。

御立尚資(みたち・たかし)
ボストン コンサルティング グループ シニア・アドバイザー
京都大学文学部米文学科卒。ハーバード大学より経営学修士(MBA with High Distinction, Baker Scholar)を取得。日本航空株式会社を経て、1993年BCG入社。2005年から2015年まで日本代表、2006年から2013年までBCGグローバル経営会議メンバーを務める。BCGでの現職の他、楽天株式会社、DMG森精機株式会社、東京海上ホールディングス株式会社、ユニ・チャーム株式会社などでの社外取締役、ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパン専務理事、大原美術館理事、京都大学経営管理大学院にて特別教授なども務めている。経済同友会副代表幹事(2013-2016)。著書に、『戦略「脳」を鍛える~BCG流戦略発想の技術』(東洋経済新報社)、『経営思考の「補助線」』『変化の時代、変わる力』(以上、日本経済新聞出版社)、『ビジネスゲームセオリー:経営戦略をゲーム理論で考える』(共著、日本評論社)、『ジオエコノミクスの世紀 Gゼロ後の日本が生き残る道』(共著、日本経済新聞出版社)、『「ミライの兆し」の見つけ方』(日経BP)などがある。

土屋哲雄(つちや・てつお)
株式会社ワークマン専務取締役
1952年生まれ。東京大学経済学部卒。三井物産入社後、海外留学を経て、三井物産デジタル社長に就任。企業内ベンチャーとして電子機器製品を開発し大ヒット。本社経営企画室次長、エレクトロニクス製品開発部長、上海広電三井物貿有限公司総経理、三井情報取締役など30年以上の商社勤務を経て2012年、ワークマンに入社。プロ顧客をターゲットとする作業服専門店に「エクセル経営」を持ち込んで社内改革。一般客向けに企画したアウトドアウェア新業態店「ワークマンプラス(WORKMAN Plus)」が大ヒットし、「マーケター・オブ・ザ・イヤー2019」大賞、会社として「2019年度ポーター賞」を受賞。2012年、ワークマン常務取締役。2019年6月、専務取締役経営企画部・開発本部・情報システム部・ロジスティクス部担当(現任)に就任。「ダイヤモンド経営塾」第八期講師。これまで明かされてこなかった「しない経営」と「エクセル経営」の両輪によりブルーオーシャン市場を頑張らずに切り拓く秘密を本書で初めて公開。本書が初の著書。