2020年に騰勢が続いた電気自動車(EV)銘柄の中で特に値動きが目立ったのは、バッテリー新興企業のクアンタムスケープだ。まだ売上高が生じる段階ではないが、年終盤にかけて株価が急騰した。もし約440億ドル(約4兆5300億円)の市場価値をつけた投資家の見立てにほぼ間違いなければ、彼らは米EVメーカー、テスラの命運について心配すべきかもしれない。11月の新規株式公開(IPO)以降、クアンタムスケープ株は大幅に上昇している。同社は12月上旬、「ソリッドステートバッテリー(全固体電池)」の一部の種類について有望なテスト結果を発表した。だがそれ以外の理由で、華々しい株価上昇を説明するのは難しい。カリフォルニア州サンノゼに拠点を置き、独フォルクスワーゲン(VW)やビル・ゲイツ氏の支援を受ける同社は、今や時価総額で米フォード・モーターを抜いた。投資家は自らを「次のテスラ」と位置づけるEV新興企業の目もくらむようなバリュエーションには慣れているが、クアンタムスケープの場合、その熱狂は潜在的なサプライヤーにまで及んでいる。