ベーシックインカム写真はイメージです Photo:PIXTA

 新型コロナウイルスのパンデミックの下、ベーシックインカム(普遍的基礎所得)導入への関心が世界中で高まっている。

 日本でも国民への生活支援で一律10万円の直接給付が行われたことや、菅新政権の経済政策のアドバイザー役の竹中平蔵氏が成長戦略会議で提唱したことで改めて注目が集まった。

 だがその描く姿は論者によってさまざまだ。給付額や既存の所得保障やサービスをどこまで代替するのかでも大きく違う。

 それでもリベラル派のみならず、保守派や新自由主義者までがベーシックインカム論を唱えるのには理由がある。

コロナ禍で露呈した
救済されない人々の存在

 ベーシックインカムというのは社会の全構成員に1人月額3万円あるいは5万円といった金額を無条件で恒常的に給付する制度だ。

 ドラスティックで空想的な考え方にみえるかもしれないが、うまく制度設計できれば、人々はこれまで以上に仕事を選ぶことができる。失業しても家族でベーシックインカムを持ち寄れば一定期間はなんとか暮らせる。