2020年第3四半期、世界の外貨準備高に占める米ドルの比率は約四半世紀ぶりの低水準に低下した。だが、この数字にだまされてはいけない。ドルはこれまで通り世界の金融システムの中心だ。国際通貨基金(IMF)のデータによると、9月に報告された外貨準備高におけるドルの比率は60.5%に低下した。名目ベースでは、過去1年間のドル安で低下幅が拡大されているが、その分を考慮しても、実質的な主要中央銀行のドル保有率は見た目より高い公算が大きい。さらに、この比率は第4四半期に再び上昇に転じた可能性が高い。ゴールドマン・サックスは、通貨市場の動向を調整した後の第3四半期の実質的なドル保有高は、ユーロや日本円、中国人民元、英ポンドよりも、拡大幅が大きかったと指摘している。