大雪記録的な大雪に見舞われた豪雪地域の生活保護世帯は、この難局をどのようにサバイバルしているのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

大雪の連続がもたらした
「雪地獄」と除雪費用の高騰

 2021年は、新型コロナに対する「緊急事態宣言」、そして全国的な寒冷と日本海側を中心とした大雪で始まった。寒冷や豪雪が毎年やってくる地域は、日常の備えでは歯が立たない「災害級」への対応を迫られた。豪雪地帯を災害級の大雪が襲うとき、低所得層、特に生活保護世帯の暮らしは、どのような影響を受けるのだろうか。

 北陸の豪雪地帯で、長年にわたって生活保護の現場で働いているベテランケースワーカー・Kさんは、降雪シーズンに入って以来の状況をこのように語る。

「当地では、例年より遅く12月に初雪を迎えたのですが、初雪からの数日間だけで400cm以上の積雪がありました。高齢者に聞いても『こんな大雪は記憶にない』ということでした」(Kさん)

 Kさんの勤務する自治体の面積は広く、標高や地形のバリエーションも豊かだ。比較的標高の低い市街地で400cm以上の積雪なら、山間部では600cmを超えていても不思議ではない。

 そこに、年末年始の寒波で約200cm、さらに1月7日からの寒波で約200cmの降雪があった。1カ月程度で合計800cmの降雪があったことになる。豪雪地帯とはいえ、この降雪量は通常の1年分に相当する。Kさんの勤務地のある県や周辺の県では、当然、いくつかの自治体が災害救助法を適用されている。

「災害救助法が適用されると、生活保護世帯に限らず、高齢者の除雪援助事業や道路除雪の費用に対しても、国と県からの強力な財政支援が行われますから、除雪費用に関しては悩みが軽くなります」(Kさん)