また、テレワーク経験のある求職者は経験のない求職者と比較すると、「これからの働き方」を連想させる項目への回答割合が全体的に高い。例えば、「現在の仕事の分野の専門性を高めること」は未経験者が10.3%に対して25.8%、「現在の仕事以外の分野の知識や専門性を学ぶこと」は未経験者が6.0%に対して経験者は15.1%、「キャリアプランを立てたり見直したりすること」も未経験者6.9%に対して19.2%と、大きな差が生まれている。

 テレワークは、自分自身で仕事の仕方を選択する経験でもある。仕事の進め方だけでなく、相手との仕事のやり方を自ら決める中で、自分でキャリアもデザインできるのかもしれないという考えに至っているのだといえる。これはセルフリフレクティブとも呼ばれるが、それをもう1回見つめ直すことには裁量権が影響しているのではないか。

「在宅勤務OKからNG」への変化
3大要素の欠如は転職相談につながる

――前回の緊急事態宣言時に「在宅勤務OK」になったにもかかわらず、現在はそれが認められない企業もあると聞く。以前「在宅勤務」を経験した人が「在宅勤務NG」になることでどういった心理変化が生まれる可能性があるか。

 テレワークから出社へと戻した会社でも、顧客接点があった方が安全かつ顧客価値が上がるなどの「必然性」、感染対策が十分に行われているという「安全性」、仕事のやり方などへの「裁量権」「自主選択性」が担保できていれば、納得感があり、ネガティブにならない。

 しかし必然性がなく、安全性が担保されず、仕事をする場所や方法などを選択できる権利が担保されていないと、「ライフフィットしていない」と転職相談につながりやすい。

 このライフフィットには2つの意味合いがある。1つ目は先ほども挙げたように、自分の生命を守る意味での「安全性」を保てる働き方ができること。つまり、ライフスタイルに合うかどうか。もう1つは、社会全体が大きく変化する中で、中長期的に自分は成長できるのか。ライフデザインをフィットさせたいという要望だ。

 これはどちらが多いとも言い切れない。ひとりの中でどちらの要素も重視している人がいるためだ。