上司から「共司」へ
組織は野球型から「ラグビー型」に

――テレワークを経験したことによって、上司と部下の関係性はどう変化しているか。

 2001年に糸井重里さんが「インターネット的」という言葉で、世の中が「シェア」「リンク」「フラット」になっていくと分析・予見していたことを記憶している方もいるだろう。

 その後、多くの人がソーシャルメディアを活用するようになるに連れて、組織においても上司とは縦ではなく横の関係というオープンで、かつカジュアルな関係になってきている。こうした「オープン」「フラット」「カジュアル」である状態を「ソーシャル的」と私は呼んでいる。

 こうした時代の変化の中で、上司に求められる役割はどう変わっているか。以前の上司が命令をして統制する鬼軍曹だったとしたら、これからは横で伴走してコーチングして才能を開花させてくれるような人、「共司」が求められている。

 そして、テレワークはこの動きを加速させた。成果に向かってフラットに対話することが大切で、上から曖昧な命令をするのでは仕事が進まないことはテレワークが教えてくれた気づきでもある。

 これまでは、仕事の明確なゴール設定や、部下に対する仕事の分割・配置を行うのが上司の仕事だと思われていた。これは「野球型」のマネジメントと言えるだろう。それが、ディフェンスが時にはフォワードになるなど、現場で状況に応じて役割が動的に変わる「サッカー型」「ラグビー型」のマネジメントへ変化することが求められている。

 すると、仕事も明確な指示よりは、働き手からも自律的に設計することが大事になる。社員に必要なのが「自律と共助」であり、自分で決め、周りの人は応援しなければならない。まさに組織は、サッカーやラグビーのような構造に変わっていくだろう。