Paul McCartney
Photo:J. Almasi/gettyimages

1942年6月生まれのポール・マッカートニーは、2021年で御年79歳を迎える。たとえ79歳でも、ポールは「音楽少年」のままだ。その姿を見ているだけで著者はうれしくなる。以前の記事で、ジョン・レノンのソロの楽曲は、現代史のドキュメンタリーであると書いたが、ポールの楽曲は、ロックとポップスの王道といえる。そのようなポールの新作アルバム『マッカートニーIII』が、2020年12月18日に発売された。半世紀も活躍しているのになぜ「III」なのだろうか。(ダイヤモンド社論説委員 坪井賢一)

50年間で3作目の全曲「自作自演」アルバム、
「マッカートニーIII」を発売

 ポール・マッカートニーの「マッカートニー」シリーズは、全曲「自作自演」のアルバムだ。『マッカートニーIII』もまたすべての楽器を一人で演奏し、多重録音しているのである。

 自身の名を冠した最初のアルバムは1970年4月に発売された『マッカートニー』で、ビートルズ解散騒動のさなかに発売された。

 ビートルズ末期の動向を時間順に見るとこうなる。

【1969年】
7月4日
ジョン・レノン、シングル『平和を我等に』発売(日本盤7月21日)
9月26日
ビートルズ、アルバム『アビイ・ロード』発売(日本盤10月21日)
10月20日
ジョン・レノン(プラスティック・オノ・バンド)、シングル『コールド・ターキー』発売(日本盤1970年1月10日)
10月31日
ビートルズ、『アビイ・ロード』のシングル・カット『カム・トゥゲザー/サムシング』発売(日本盤11月21日)
12月ごろ
ポール・マッカートニー、ソロ・アルバムの制作を開始
【1970年】
3月6日
ビートルズ、シングル盤『レット・イット・ビー』発売(日本盤3月25日)
3月27日
リンゴ・スター、ソロ・アルバム『センチメンタル・ジャーニー』発売
4月7日
ポール・マッカートニー、ソロ・アルバム『マッカートニー』発売(日本盤は6月25日)
4月10日
ポールがビートルズ脱退を表明。事実上、解散へ
5月8日
音楽プロデューサー・フィル・スペクターが、ビートルズの『ゲット・バック・セッション』をリミックス。管弦楽を付加してアルバム『レット・イット・ビー』を完成させ、イギリスで発売(日本盤は6月5日)

 上記のように、ジョージ・ハリスン以外の3人がソロ・アルバムやシングルを準備していた1969年後半、ビートルズは解散寸前の状況だった。バンドの結束が乱れて失意のポールも、1969年12月から一人で多重録音のアルバム制作を始めたといわれている。

 これが『マッカートニー』と名前を冠したソロ・アルバムで、イギリスでは1970年4月7日に発売された。「ビートルズ脱退」をニュースリリースで表明したのが4月10日だったことから、その衝撃もあってミリオン・セラーとなった。