米銀大手は魅惑的な額の現金を蓄えているが、それが株主のポケットに収まるのは遠い先のことのようだ。JPモルガン・チェースは15日、2020年末時点の現金および有価証券の保有残高が1兆4000億ドル(約145兆円)で、資本要件を約4500億ドル上回っていたと明らかにした。同日に決算を発表したシティグループや地銀大手のPNCフィナンシャル・サービシズ、JPモルガン、ウェルズ・ファーゴはいずれも、20年末時点で現金資産が総資産の約15%を占め、前年の10%未満から大幅に増加した。背景には、米連邦準備制度理事会(FRB)によるバランスシート拡大と財政刺激策による預金の増加がある。FRBのデータによると、米銀大手の足元の預貸率は約56%と、新型コロナウイルス流行前の約70%から低下した。