これが事実なら、襲撃は明らかにトランプ大統領が主張する偶発的な出来事ではなく事前に周到に計画されたもので、警備当局や議会関係者に協力者がいたことになる。事件での逮捕者は100人を超えている。いずれ事実が明らかになるだろう。

 今や首都ワシントンは戒厳令前夜のような不穏な雰囲気に包まれている。式典が行われる議会議事堂周辺は高さ2メートル以上の強固なフェンスで囲まれ、約2万5000人の州兵が配備されている。その数はイラクとアフガニスタンに駐留する米兵総数の実に4倍にあたる。

 6日の議事堂占拠事件で勢いづいた極右のトランプ支持者グループが、今度は新大統領就任式に合わせて首都ワシントンの連邦議会議事堂だけでなく全米各州の行政機関も同時に包囲攻撃する可能性があると連邦捜査局(FBI)が警告を発しているからだ。いつもなら就任式の際に祝賀の人々で埋め尽くされる国立公園ナショナル・モールも封鎖され、シークレット・サービスが警備にあたっている。

 しかし何が起きようと、虚言、妄言、暴言で米国社会を分断し世界秩序をかき乱したトランプ大統領の悪運が尽きる日は近い。

 13日、史上初という不名誉な2回目の弾劾訴追を受けたトランプの任期は20日正午までだ。その後、上院での弾劾裁判が始まる。17人の共和党議員が寝返れば有罪となり、それ以降トランプは公職に就くことが禁止されることはもちろん、年間約20万ドルの年金ももらえなくなる。

政府高官らは次々と辞任
死に体となったトランプ

 トランプが今最も恐れているのは、汚職、司法妨害、公職選挙法違反、反乱教唆、不倫の口止め料支払いなどこれまでの悪行による起訴だ。彼自身だけでなく一族が経営するトランプ・オーガニゼーションに対しても捜査の手が伸びる。

 トランプ大統領が任期終了直前に辞任して、大統領に昇格したペンス副大統領がトランプに恩赦を与えるというシナリオが話題になっていたが、ペンスと仲たがいした今、その可能性はもうないだろう。そもそも唯我独尊のトランプの辞書に敗北や辞任という言葉はないのだ。