「良い社長」はどうしたらいい?
ここまで太っ腹な社長になれるか

 さて、あなたが社長だとする。例えば、自社株購入代金の1割を会社が補助する社員持ち株会を作って(筆者は、過去にこのような制度を持つ会社に勤めたことがある)、社員に以下のように言うことができるだろうか。

「持ち株会は大いに利用してもらいたい。しかし、自社株の残高が大きくなりすぎるとリスクが大きくなるから、自社株は売れる単位までたまったら、こまめに売って現金化しておくといい。損得はあまり気にするな。平均的には1割補助のメリットが取れるはずだよ」

 これくらい太っ腹な社長なら、社員持ち株会を作って社員に利用を推奨していいかもしれない。しかし、社長の気持ちを想像すると、なんとも気の進まない持ち株会だ。

 こんなものを作るくらいなら、企業型の確定拠出年金を作って利用する社員に補助金でも出す方がよほどいい。

 筆者が社長ならどうするか。

 確定拠出年金は導入するとして、徹底的に「地雷」的商品(手数料が高かったり、複雑だったり、債券が入っていて非効率的だったりする運用商品)を除去して、正しい利用方法を社員に毎年教えよう。社長は、わがままで社員に迷惑を掛けるのだから、これくらいの親切をしてもいいだろう。

 ついでに、社内サークルとして、株式投資研究会を作ると面白そうだ。もちろん、「他社の」ビジネスや株式についてあれこれ調べて議論するのだが、個人でもできるポートフォリオ運用の方法も伝えよう。たぶん、個別株の分析に凝るよりも、こちらの方が重要だ。

 そして、他社の経営問題や株価分析の話題を通じて、自社の問題や経営のまずさをチクリと自社の社長に伝えることができるような気の利いた社員がいたら、大いに大切にして育てなければなるまい。次の社長候補だ。

 こうして考えてみると、上場会社の社長になるのも楽しいような気がしてくるが、筆者にその予定はまったくない。