お酒や温泉を楽しめる
お勧め施設とは

 約70年の歴史において、何度も浮き沈みを経験してきた国内のユースホステル。松鳥氏は、度重なる荒波にもまれながらも生き残ってきた施設には「人をひきつける唯一無二の魅力がある」と語る。そんな同氏に、これまで宿泊した中で特にお勧めのユースホステルを聞いた。

「大分県の『湯布院カントリーロードユースホステル』は温泉好きの人にお勧めです。ここは珍しく、施設の中に温泉浴場があり、宿泊客はチェックインからチェックアウトまでの時間内なら、好きなタイミングで入浴することができるんです。ペアレント(管理者)はまだ40代と比較的若く、宿泊客も20~30代を中心に若い方が多い印象ですね。出発の際には、ペアレントが『カントリーロード』の弾き語りでお見送りしてくれる、ユニークで温かい雰囲気が魅力です」

 また松鳥氏いわく、一昔前は館内での飲酒を禁じる施設がほとんどだったが、現在はお酒をウリにしているユースホステルも多いのだとか。群馬県の「谷川岳ラズベリーユースホステル」はその一つだ。

「ここのオーナーは根っからの日本酒好き。宿には常に5種類ほどのおいしい日本酒が置いてあり、安い値段で飲み比べを楽しむことができます。私が宿泊した時は、大勢でワイワイ飲むのではなく、落ち着いたスペースで、お酒が好きな人同士がしんみり飲めるような雰囲気が印象的でした。また、冬の季節は壮大な雪景色が見られるので、日常を忘れて自然に浸ることができますよ」

レアな職業の人と
知り合う可能性も

 ユースホステルでの出会いをきっかけに、全国に友人ができたという松鳥氏。一風変わった宿泊客と出会える可能性が高い場所として、東京都・小笠原諸島の「アンナビーチ母島ユースホステル」を挙げてくれた。

「世界遺産である小笠原諸島・母島には希少な野生動物や植物が多く生息しています。そのため、島を訪れる動植物の専門家は多いのですが、ここは彼らが常用する宿でもあります。以前、とある昆虫研究者の方と運良く居合わせた際には、夕食時のリラックスした雰囲気の中、マニアックな虫の生態についてレクチャーを受けるという、非常にぜいたくな体験をしました」

 施設によって異なる個性を持ち、思ってもみないような出会いをもたらしてくれるユースホステル。ドミトリースタイルが基本ではあるが、中には広めの個室を備えている施設もあり、家族連れで利用することも可能だ。コロナ禍の現在、気軽に足を運ぶのは難しいかもしれないが、感染が終息した暁には、ぜひ一度利用してみてはいかがだろうか。