38万部超のベストセラー『餃子屋と高級フレンチ』シリーズでおなじみの著者・林 總氏の最新刊『たった10日で決算書がプロ並みに読めるようになる! 会計の教室』が9月29日にダイヤモンド社から発売になりました。本連載では、同書の中から抜粋して決算書を読み解くために必要な基本の知識をお伝えしていきます。登場人物は、林教授と生徒の川村カノンの2人。知識ゼロから始めて、いかにして決算書を読み解くスキルを身につけていくのか? 川村カノンになったつもりで、本連載にお付き合いください。

ソフトバンクは、なぜ、<br />急激に世界的な巨大企業に<br />成長できたのか?Photo: Adobe Stock

ROEを計算する

林教授 投資家が重視するROEについて考えていく。最初に、もう一度ROE(自己資本利益率)の計算式を確認してみよう。

ROE(%)=税引き後当期純利益÷自己資本×100

カノン 自己資本って、資本金・資本剰余金と利益剰余金の合計額ですね。

林教授 これらは株主に帰属する資本だ。「株主から調達した資本」といっていい。

カノン 株主から見れば、自己資本は自分のお金ですね。

林教授 株主は自分のお金、つまり自己資本がどれだけの利益をもたらしたかに関心がある。その指標がROEだ。

カノン ちょっと待ってください。利益って、資金を運用した資産がもたらすのでしたよね。でもROEはすべての資金がもたらした利益と、自己資本との比較ですよね。なんだか変な気がします。

林教授 そうだね。株主が新たに資金を振り込まなくても、運用する資金を増やせば利益は増えることになる。

カノン そんな虫のいい話ってあるのですか?

林教授 会社が借金すればいい。

カノン 確かに。株主がお金を振り込まなくても、会社が借金すれば運用する資金が増えます。株主には都合のいい話ですね。

林教授 そうだね。しかも利益が増えれば配当も増え、一株当たりの利益も増える。そうなれば株価も上がる。だから投資家はROEに関心を持つのだ。