カルト的主張はカルト的であるが故に、いまいち釈然としないものである。

 例えば「伝統的な家族観が失われる」。

 日本の一般市民に夫婦同姓が義務付けられたのなんて明治以降で、歴史的に見るとそれほど伝統でもない上にドイツの法律を参考にしてるので、ニッポンの誇り的なものでは一層ない。

 或いは「子供と親の氏が違うのは違和感がある」。

 違和感はあるが、違和感があるのは現行それを可能にする制度がないからだ。

 もしくは「絆が失われる」。

 日本の離婚率は世界の中ではそこそこ高い方なので、氏と絆に関係があるとも思えない。

 某県議会では「犯罪が増える」なんてトンデモ理論が飛び出したが、単純に考えると、結婚による改名がなされる方が、身分を隠したい人にとっては好都合のような気もする。夜の業界界隈では、借金で首が回らなくなったギャンブル系男子が、苗字を変えて再びクレジットカード会社や消費者金融を利用したいが故に、女に結婚を迫るなんて話は結構聞く。

夫婦別姓に反対する
本当の理由

 要は選択的であっても別姓の導入が嫌だという主張はそれほどはっきりとした理由や根拠を伴わずにブツブツ言われており、伝統がとか絆がとかいう誰が聞いても小綺麗な絵空事に思えるような言葉が、反対派の本心とはどうも思えないのだ。

 私のような「熱心な推進運動をする事情に差し迫られてはいないが、改正されても何の支障もない、というか全体的に夫婦の議論に関係ない独身」たちは、それなりに冷めた目でそのお爺様方の思考を推測している。