ほとんどの投資商品は、供給量を増やすことができる
その点を踏まえて投資商品の供給を考えてみると、まず株は増資という方法によって市場に出回る株を増やすことができます。
国債や社債などの債券も、国や会社の判断で増やすことができます。
現金は、中央銀行が紙幣を印刷しているわけですので増やすことができます。
不動産投資の対象となる土地は増やせません。
ただし、荒地を整備すれば実質的に使える土地は増えます。
土地の面積は決まっていますが、戸建てをマンションにすれば面積が増えますので、これも供給量を増やせる資産といえるでしょう。
コモディティ分野では、大豆やトウモロコシなどの農作物は、その時々の天候に影響を受けますが、増やすことは可能です。
原油は埋蔵量が有限といわれています。人工的に作り出すこともできません。その点では供給が有限の資産といえるでしょう。
ただ、エネルギー源としての原油という視点から見ると、エネルギー源は原油のほかにも天然ガスなどがありますし、太陽光、地熱、バイオマスなど、新しい技術によって新しいエネルギー源も生まれています。
原油そのものは有限だったとしても、その他のエネルギー源で供給量が増やせるため、価格が下がるリスクがあるのです。
ビットコインはブロックチェーンという分散型台帳によって管理され、流通量が管理されています。これは「サトシ・ナカモト」さんの素晴らしいアイデアで、需給の管理という点から見ても美しい仕組みだと思います。
ただし、これも原油と同じ考え方ができます。ビットコイン単独で考える場合はよいのですが、仮想通貨(暗号資産、クリプトカレンシー)全体で見ると、新しい通貨が続々と誕生し、増え続けています。その点から見れば、広義には仮想通貨の供給量も増やせるといえるのです。
金は代替不可能な限られた資源
さて、このような商品群の中で特殊なのが、金を含む貴金属です。
なぜなら、金などの貴金属は、地球の地殻から産出する資源であるため、埋蔵量は限られているうえ、原油にとっての太陽光や、ビットコインに対するアルトコインのように、代替できるものもないからです。
金は、毎年少しずつ鉱山から採掘されているものの、地球上での採掘が厳しくなり、質の高い生産は停滞している状況です。
技術的には人工の金を作ることができるようですが、作っても採算が合わず、大量に作ることもほとんど不可能です。
「錬金術」という言葉があるように、高価な金を作り出すことは多くの人の夢でした。
技術者、科学者、お金持ちなどがこぞって金作りに取り組みましたし、一説には、万有引力を発見したニュートンも錬金術に熱心だったそうです。
しかし、どの人の、どんな取り組みも、今のところは不発に終わっています。
あらゆる人の叡智を持ってしても作れないところが金の魅力であり、価値なのです。