コロナ禍で「詰め込み授業」が横行
大切なのは子どもの主体性
本来、2020年には新学習指導要領が施行となり、本格的に教育改革がスタート、学校教育が新学習指導要領の主題である「主体的・対話的・深い学び」へと移行する年になるはずであった。
しかし実際は、新型コロナウイルスの感染拡大によって、全国のほとんどの学校で、履修の遅れを取り戻すための「詰め込み授業」が行われている。
その結果、「子どもたちがストレスをためている」という声が私のもとに多く届いたため、急遽、私が主宰する教育コミュニティー「マザークエスト」で、2020年10月に「学校教育の現状とこれからの期待に関する保護者アンケート」を実施した。
一斉休校中の学校の対応や、子どもの様子で気になること、保護者が学校に期待すること、ICT(情報通信技術)活用についてなどを聞いたところ、「保護者が学校に期待すること」の項目では、「学習の遅れを取り戻すことではなく、子どもたちが学びたくなる授業が行われること」を求める声がもっとも多かった。
「学校教育におけるICT活用」の項目では、公平という名のもとに一律一斉に始められるまで待つのではなく、「今できることから推進すべきだ」を選択した親が全体の95%であった。
目的はテクノロジー導入ではなく
それを使って「何を実現していくか」
OECD(経済協力開発機構)加盟国の中で、日本の学校は授業内におけるデジタル機器の使用時間が最下位である。また、ICT環境の整備の遅れも長年、問題となっており、それを改善するために文部科学省は「GIGAスクール構想」を提議し、生徒1人に付き1台のデバイスの配布と、学校内のICT環境の整備が急ピッチで進められようとしている。
しかし「それらを使って何を実現していくのか」という、根本的な目的が論じられないままでは、教員の負担を増やすだけである。せっかくのICTも宝の持ち腐れになりかねない。
「これから必要とされるのは、ジェネラリスト(広範な分野の知識・技術・経験をもつ人)ではなく、(特定分野に深い知識や技術を持つ)スペシャリストだ」と柳沢氏は言う。
変化の激しい社会でこうした能力を発揮していくためには、何より主体性が必要だ。子どもの頃から主体性を育むことは欠かせず、保護者からの学校教育への期待も変わってきている今、日本の学校は果たしてそこに応えられるのだろうか。
伝統女子校である北鎌倉女子学園が、教師一丸となってピンチをチャンスに変え再起動したように、日本の学校教育が積極的にテクノロジーを導入し、生徒の主体性を育む学習の場へと生まれ変わることができるか――。学校教育はコロナ禍の今、まさに重要な局面を迎えている。