教育環境を求めて小学校区を選ぶ時代に
「公立学校を選ぶために引っ越しをしました――」
よりよい教育環境を目指して、教育熱心な親が公立の小学校区を決めてから引っ越しをする現象が起きている。「公立小移民」とも呼ばれるこの現象は、不動産業者が有力校区を売り文句にすることもあって、都内で過熱気味である。通学区域に引っ越せば小学校を選べるだけでなく、公立のために教育費を抑えられるからだ。
とはいえ、都内だけで1000校以上も小学校がある一方で、個別の学力データは開示されていない。そのため、子どもの受験を見越した親ほど、公立小学校選びに頭を抱えていることだろう。果たしてどの小学校区が教育環境に優れているのだろうか。
そこで、ダイヤモンド・アナリティクスチームは、小学校の通学区域(町丁ベース)を基に、オープンデータを用いて周辺地域のデータを収集。学力と関係のある推計年収をはじき出し、教育や住まい環境に関連のあるデータを踏まえて「教育環境力」として得点化した。特集「東京・小学校区『教育環境力』ランキング【総論】」でその全体像を明らかにする。
>>>東京・小学校区「教育環境力」ランキング【主要30自治体トップ3】
学力、推計年収、小学校区ランキングを掲載
とはいえ、本当に学力と年収の関係はあるのかと疑問に感じることだろう。そもそも東京都では年に1度、基礎学力の定着度合いを測るために公立小学校5年生を対象にした大規模な学力テストを行っている。まず、この学力データを確認した。
>>>東京・小学校区『教育環境力』ランキング【学力偏差値ベスト25】
次に世帯年収に注目することにした。残念ながら、地域別の公的な年収データを入手することは困難だ。そこで、オープンデータから自治体別の世帯平均年収を推定した。すると、学力データとの相関を見ることができた。
>>>東京・小学校区『教育環境力』ランキング【全49市区・推計年収ベスト3】
つまり、学力と年収には何らかの関係性がある。ここで推計年収を核に、小学校区選びで親が重視するであろう「地価」や「安全性」「人気度」「学校教育」を総合的にみて、合計100点満点で「教育環境力」としてランキング形式でまとめた。
このランキングを理解するうえで、個別の指標ごとにランキングをまとめたのが次の記事である。
>>>東京・小学校区「教育環境力」ランキング【住宅地価トップ20】(11月18日公開予定)
>>>東京・小学校区『教育環境力』ランキング【児童数ベスト25】(11月25日公開予定)
ただし、小学校区は全体で比べるよりも、地域内で比較するほうがより適切だ。以下は、自治体別に上位校をランキング形式でまとめたデータ一覧である(町村部はランキング対象から除外している)。ランキングの詳細や細かな指標について各記事を参考にしていただき、小学校区選びに役立てていただきたい。