教師の80%以上がApple Teacherの資格を取得し、国内ではわずか10校しかない「Apple Distinguished School」認定校である北鎌倉女子学園。古都鎌倉の保守的な女子校は、どのようにして「テクノロジーを活用した教育の最先端校」へと生まれ変わったのか? 同校を見学するとともに、2020年に同校の学園長に就任した、東京大学名誉教授であり開成中学校・高等学校の校長を務めた、柳沢幸雄氏に取材した。(教育ジャーナリスト 中曽根陽子)
国内でわずか10校!
アップル認定校とは
ハーバード大学や東京大学で教鞭(きょうべん)を取り、2020年の春、開成中学校・高等学校(東京都荒川区)の校長を退任した柳沢幸雄氏。次の舞台として選んだのが、古都鎌倉の北鎌倉女子学園だ。
伝統的な女子校ではあるが、ここ数年は共学の人気の高まりによって入学者数において苦戦を強いられてきた。私も「なぜこの学校の学園長に就任されたのだろうか?」と思ったが、その理由をひもとくと納得できるものだった。
実は同校はこの数年、大改革を実施し、「古都鎌倉の伝統女子校」から、「テクノロジーを活用した教育の最先端校」へと生まれ変わっていたのである。その成果が認められ、2019年12月には「Apple Distinguished School」 にも認定された。
Apple Distinguished Schoolとは、アップルが「革新的な教育機関」と認定した学校である。
教育機関を対象にしたアップルが実施する招待制のプログラムに合格すると「Apple Teacher」の資格が与えられる。教師の80%以上がこのApple Teacherの資格を取得していること、生徒1人につき1台のiPadを使うことのできる環境が整っていること、教育にテクノロジーを取り入れる意義を理解し、明確な目標とそれを継続させる体制が整っていること、そしてそれを実際の授業で実践していること。これらの要件を満たし、米アップルの本社の最終審査を通過すれば、Apple Distinguished Schoolとして認定されるのである。
2021年1月現在、日本で認定されている学校はいまだ10校のみ。その中の一つが北鎌倉女子学園であり、今では校長以下、教員全員がApple Teacherの資格を有している。
現在、北鎌倉女子学園ではどのような教育が行われているのだろうか?