社会人2年目・ZAi編集部員のザイゼンがお金の“基礎知識”をあれこれ学ぶ連載「目指せ! お金名人」。今回のテーマは「学生時代に納めていなかった国民年金の追納」。大学生の間はお金の余裕がなく、学生納付特例を使って国民年金保険料を納めなかった人も多いだろう。一定期間以内であれば、後からでもその分の保険料を追納することは可能だが、果たして追納するとどれくらい年金が増えるのか? ファイナンシャル・プランナーの松本耕太郎先生に聞いた!(ダイヤモンド・ザイ編集部 イラスト:オゼキイサム)

「ダイヤモンド・ザイ」2025年12月号の「目指せ! お金名人」を基に再編集。データはすべて雑誌掲載時のもの。

2年間特例を使って保険料を猶予されていた場合、
追納するとしないとでは65歳から月3400円の差!

年金追納か、その分の資金で運用するか――どっちを選ぶべき?

ザイゼン 大学時代の国民年金保険料を追納すべきか、迷っています!

松本 学生の間、申請することで保険料の納付が猶予される制度(学生納付特例)を利用されたんですね。承認されてから10年以内であれば、保険料をさかのぼって追納できます。

ザイゼン でも、年金制度って将来どうなるかわからないし……。それにまとまったお金があるなら、NISA(少額投資非課税制度)に回したいなとも思うんです。

松本 資産は自助努力でつくる時代ですから、そういう疑問を持つことは大切。では、追納した場合と投資に回した場合を試算してみましょう。

ザイゼン お願いします!

松本 大学3年生と4年生の2年間、特例を使ったと仮定しましょう。いま社会人1年目の人だと、追納の総額は40万2000円になります。

ザイゼン けっこう大きな金額だ。

松本 いまの年金制度を前提に計算すると、65歳以降、追納した人はしなかった人と比べて月に3400円多く年金をもらえます。

ザイゼン 意外と小さい差額だ。

松本 75歳時点で差は40万8000円に。追納した40万2000円を上回り、元が取れたことになりますね。

ザイゼン その後は長生きするほどプラスになるんですね。追納した場合のメリットって、ほかにありますか?

松本 追納分は社会保険料控除の対象となり、節税にもなります。所得税率が高いほど、すなわち所得が大きいほど節税額がアップ。なので、おトクを追求するなら、社会人1年目よりも所得が増えやすい2年目以降に一括で追納するのもアリです。