偉大なイノベーターに共通する要素は、「新しい組み合わせを発想する能力」と「その発想に価値があるかどうかを洞察する能力」である。この2つの能力は1人の人間が兼ね揃える必要はない。アップルにはジョブズ氏とウォズニアック氏がいて、ソニーには井深大氏と盛田昭夫氏がいた。しかし両者共に必要な素質はある。それは「知的好奇心」である。作家のダニエル・ピンク氏は名著と名高い『ハイ・コンセプト』において、新しい時代の思考法のためには「デザイン」「全体の調和」「物語」「共感」「遊び心」「生きがい」の6つの感性が必要であると述べた。「知的好奇心」や「遊び心」は創造性や探究心の源であり、ニュートンも、モーツァルトも、シェイクスピアも、アインシュタインも、これらの塊であった。人間の知性は複雑だ。人の数だけ考え方があり、感じ方があり、生き方がある。これまでのやり方が通用しないのであれば、もっと伸びやかに自由な発想をしてみるといいだろう。そのためにはインターディシプリナリーな(=さまざまな領域を横断した)知識も当然、必要となる。本連載では、次の時代を見据えて前へ進もうと模索する「ネクストリーダー」の発想力や洞察力を刺激する、そのような有識者の知見を共有する。本連載の記事がネクストリーダーたちの何らかの道標(みちしるべ)となれば、幸いである。