何をやってもうまくいかなくなる

 その口調からして良いことではないのはすぐに分かった。慌てて現場に向かうと、いつもと様子の違うお客様が立っている。お客様は私の顔を見るなり「菊原さんには本当に失望しました」と言ったのだ。

 クレームの原因は私の指示ミスで間違った工事がされていたということ。基本的なミスだがダメージは大きい。一度作ったものを取り壊すという大事になった。

 ここで私はさらなるミスを犯してしまう。思わず「ちょうど他の現場と時期が重なっていまして」と言い訳をしてしまったのだ。お客様は私の言葉に激怒し、大問題へと発展したのだ。

 このお客様とは信頼関係ができていただけに痛恨の極みだった。

 それから何をやってもうまくいかなくなった。商談はどんなに頑張っても失敗に終わり、社内スタッフとも関係が悪化。連続契約はピタッと止まり、その代わりに契約ゼロの月がその後何カ月も続いた。クレームは本当に怖いと実感したものだ。

 私のミスでクレームを引き起こしてしまう。さらに言い訳をしてお客様との信頼関係をぶち壊してしまった。これほどの愚行はない。

 もしここでクレームを最小限に抑え込み、逆に信頼を深められていたらどうだっただろうか?調子を崩すことはなかっただろう。クレームにどう対応していくか。これは今後活躍し続けるか、それとも一発屋で終わるかの大きな分かれ道になる。