ユニゾ中堅不動産会社のユニゾホールディングスは昨年6月、米投資ファンドと組んで上場企業初となる従業員による買収で非公開化したが、早くも危機に立たされている Photo:Diamond

中堅不動産会社のユニゾホールディングス(ユニゾHD)の債務不履行(デフォルト)リスクが注目されつつある。昨年6月に米投資ファンドのローン・スターと組んで上場企業初となる従業員による買収で非公開化したが、早くも危機に立たされている。ユニゾHDには複数の地銀が多額の融資を行っており、行方次第では地銀経営にも大きな打撃となる。(東京経済東京支社情報部 井出豪彦)

1週間に2度の格下げで
ジャンク債に転落

 昨年6月、東証1部をEBO(従業員による買収)で上場廃止となった中堅不動産会社の「ユニゾホールディングス(ユニゾHD)」(横浜市中区)の債務不履行(デフォルト)の可能性に金融機関や債券投資家が注目している。上場廃止から1年ともたず、破綻する可能性があるとの悲観論が一部で出ている。

 JCR(日本格付研究所)は同社の長期発行体格付けを昨年12月21日に「BBB-」と1ノッチ下げたが、わずか1週間後の12月28日に「BB+」とさらに1ノッチ下げる異例の判断を行った。一般的に「BB+」以下の社債は投資不適格(いわゆる「ジャンク債」)に該当する。

 JCRは格下げの理由について「12月21日以降も足元の業績及び財務状況に加え、これらの見通しなどについてさらに精査を行った。その結果、チトセア投資(筆者注:ユニゾHDを完全子会社化したペーパーカンパニー)を含めた実質的な財務構成の悪化状況、安定収益源であったオフィスビル売却やコロナ禍の影響などによるCF(同キャッシュフロー)創出力の低下、金融機関との関係強化の重要性が増していることなどを従来以上に格付けに反映させる必要があると判断し」たと説明している。