絶対に1つも間違えられない
窓口業務での緊張から対人不安が…
Bさんもまた、会社員時代、窓口の事務で伝票を書くとき、よく手が震えたという。
自分が慣れていない業務の上に、訂正印が効かない金額の記入を間違えると、伝票を破棄して、もう一度、お客に書いてもらわなければならない。
窓口が混雑して後ろに順番待ちの列ができている場合、1人の処理に時間がかかると、次の人も遅れて、後ろにいた人が苛立ってくる。
「失敗したら怒るだろうなという反応と、後ろのほうから冷やかな目が来るだろうなという予測がつく。責任者も、間違っていたら判子を押してくれない。端末叩いても、伝票が違っていると、機械が操作できない。何か1つ間違えると、すべておかしくなってくるんです」
カウンター越しにお客と対面するから、視線も気になって、手が震える。何か相手に話しかけようと思うと、声が震えたり、トーンが高くなったり、音程が外れたりするような感じでしゃべってしまうことがあった。
「失敗したら、どうなるだろう」
「人を怒らせたり不機嫌にさせたりしたら、どうしよう」
そんな対人的な不安が、しょっちゅうあった。どうしても悪いシナリオを考えてしまう。
「気にしすぎかなという風に考えなさい」
そういったことが、ハウツー本には書いてある。しかし、実際に実行できるかというと、できなかった。