合流をめぐる意見の違いから関係が冷めていたみんなの党と維新の会が、一転して接近し選挙協力の準備に取りかかった。

 これは両党にとってはもちろんのこと、日本の政治にとっても実に望ましいことだ。

 落ち込んでいるように見えたみんなの党の渡辺喜美代表も、このところ元気を取り戻し、「出船もあれば入船もある」と得意の喜美節の冴えを見せている。

 出船とは離党者のこと、入船とは入党者のことだろう。3人の離党者に気が滅入っていたところに民主党から1名の入党者を迎えた。それが余程うれしかったのに違いない。

 森進一の“港町ブルース”には出船、入船の他に「帰り船」もある。出船もまた帰り船になるかもしれない。

第三極は“世論の放った矢”
協力関係の構築で高まる世論の期待

 両党の合流話の決裂は、両党に深い傷を負わせてしまった。維新の会は傲慢に見えたし、みんなの党は卑屈に見えた。世論の幻滅は世論調査にはっきりと示された。そして協力関係が再構築されるようになるとまた持ち直したのである。

 両党にはこの際、なぜ大きなブームが起きたかを再確認してほしい。

 みんなの党は渡辺代表と江田憲司幹事長の過去の政治行動に対する強い信頼感が根幹にある。

 自民党内で公務員制度改革に蛮勇を振るい、その実績にも満足できずにたった1人で離党して志を貫こうとした渡辺氏の決意と行動を誰も忘れていない。

 また、官僚改革の宿志を抱いて、自民、民主の二大政党の狭間であえて無所属で戦い抜いてきた江田氏。2人とも何の展望も開けないのに、大政党の外で孤軍奮闘してきた。

 2009年の結党後初めての総選挙で、みんなの党は躍進したが、もしも民主党が同じような公約をしなければ、爆発的なブームになったであろう。

 橋下徹ブームは、民主党への絶望から生まれてきた。みんなの党が世論の放った第一の矢であるとしたら、維新の会はそれに追い打ちをかける二の矢であるとも言える。

 もしも解散・総選挙が遠ざかれば、三の矢、四の矢が出現するかもしれない。