この人が選ぶのだから間違いないと
思わせる書店員のプロフィール

 まず男性向け3作品を選ぶのが「書店員すず木」氏である。紹介に「年間に読むマンガの冊数は2000冊以上」とある。これは我が目を疑うレベルの数字である。年間2000冊も読めるものかと。一生懸命電卓をたたいたところ、1日平均5.5冊の読書量であり、しかも読了したマンガでも多いときでは50回以上読み返すこともあるということで、もう何が何だかわからない。読む速度も読むことへの意欲も尋常ではなく、「次元が違う」という表現はこのようなときにこそ用いるのだと思い知らされた。

 一方、女性向け3作品を選ぶのが「書店員えい子」氏で、この人は「『BookLive!』公式のInstagramで情報発信を行っている」という。「アラサー女子の悩みにマンガで応える」そうで、アカウントの中の人のキャラ作りや一工夫のためとはいえ、これもすごい。

 おそらく頭の中に膨大の数のマンガが図書館のように整然と並んでいて、「この問いに対してはこのマンガの○巻の○ページ」と、生き字引的作業を日々営んでいるということである。けんかっ早い人を表すときに「口より先に手が出る」という言い回しがあるが、この人の場合は「口より先にマンガが出る」といったところで、「マンガって“出る”ものなんだ」という驚きがあるが、それくらいすごい人物ということである。

 この2人による大予測というのだから、これはもうむげにできる道理はない。個人の予測には違いないが、魂をマンガに捧げた2人による予測であり、大いに説得力がある。

 では以下に、両氏予測の「2021年にヒットする作品」をコメントともに紹介するが、本稿は前編で男性向け・女性向け作品を1つずつ、後編でそれぞれ2作品を取り上げる構成とさせていただく。

お約束を破壊しまくるのになぜか面白い
成人男性向け少年マンガ

 書店員すず木氏による男性向けマンガ、1つ目は『チェンソーマン』(著者:藤本タツキ)である。少年ジャンプの作品であり、筋金入りジャンプ読者の筆者としては既にテンション絶頂である。

「主人公が『体からチェンソーが生えた魔人』に変身する、という斬新な発想と、インパクトのあるルックス。そして彼の戦い方は非人道的かつ凄惨で、まさに悪魔的……! それでいて、主人公の性格は底抜けにお気楽。これまでにない『少年マンガの主人公』像に衝撃を受けました。

 大きく変形した大胆なコマ割りや粗いタッチも画に迫力を生み出して、他に類を見ない世界観を作り出しています」

【30~40代男性へのオススメポイント】

「自分本位で何も考えず突き進む主人公・デンジの姿は、もし同僚などで現実世界にいたら腹立たしく感じる部分もあるかもしれませんが、マンガだからこそ理想像のひとつとしてうらやましく感じるのではないでしょうか。

 物語全体に漂う荒々しい勢いやダークさは、大人が読んでこそ楽しめる部分があると言えます」(※書店員すず木氏のコメントより抜粋/30~40代男性へのオススメポイントについては、ダイヤモンドオンラインの読者層に合わせてお二人にコメントしてもらった)

 年に2000冊読む人が「斬新」や「これまでにない」と言っているのだから、本当にその通りなのであろう。