北朝鮮の「核保有」も従来のように明示せず、「プルトニウム50キロ保有」「核兵器小型化能力が相当な水準」と2年前と同じ内容を記述した。

 金正恩氏が、朝鮮労働党大会で南北、米朝首脳会談が行われている時期にも核ミサイル開発を継続してきたことを認めたのを全く無視した指摘である。

 最近の南北軍事関係については、北朝鮮は「全般的に『9.19軍事合意』を遵守している」と評価した。北朝鮮による南北共同連絡事務所の爆破や軍事的威嚇を無視した形である。

 南北の政治関係では、「金委員長は、党創立75年閲兵式の演説では南北関係改善に関する意思も披歴した」と述べた。しかし、それも韓国の出方次第だという条件付きであることには触れていない。

 北朝鮮の内部情勢に関し、従来の白書で使っていた「政権世襲」という表現を「金正恩国務委員長の執権」に変更した。民主社会デモで広く用いられる「執権」という表現を用いることで体制の正統性を認める意図があるのであろう。

 韓国の国防白書は、現在の朝鮮半島情勢を客観的に分析・評価するものとは言いがたい。あくまでも文在寅政権の政治姿勢を正当化する白書であり、自分たちに都合の良い部分のみを取り上げて、つじつまを合わせた文書と考えた方がよさそうである。

 これをもとに韓国の国防政策を策定すれば、北朝鮮の脅威に対処することはできず、韓国の安全保障に甚大な脅威となるであろう。また、日本との協力に後ろ向きな姿勢を露骨に表しており、米韓同盟に対する認識も、韓国として独自色を強く出そうとしている。

 韓国は今後ますます日米から離れ、中朝にすり寄っていくことを暗示するのがこの国防白書かもしれない。