JR九州は昨年8月、佐川急便と共同で宅配便荷物を九州新幹線で運ぶ貨客混載事業の協業について基本合意したと発表した。佐川急便が回収した荷物を博多・鹿児島中央の両駅で新幹線車内の専用ボックスに搭載し輸送。到着駅で佐川急便のトラックに積み替え、営業所まで運び、個別に配送する仕組みだ。

 こうした取り組みはコロナ禍が本格化する以前から動きだしており、昨年2月にはJR北海道と佐川急便が新幹線車両を使った貨客混載輸送の事業化に向けた実証実験を行うと発表している。利用が低迷する北海道新幹線の活用を狙ったもので、こちらは客室の座席に荷物を固定し、新函館北斗と新青森駅間を輸送する。

 北海道~青森間は鉄道専用の青函トンネルでのみ結ばれており、従来はフェリーが輸送を担っていた。これを新幹線に置き換えることで輸送の速達化が可能になる。当初は昨年3月に実証実験を行う予定だったが、その後の新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて延期され、ようやく今年1月21日に実施。今年度中の事業化を目指している。

JR西日本が明かす
参入の狙い

 国内最大の鉄道事業者であるJR東日本も昨年9月、新幹線物流など列車を活用した物流サービスを拡大していくと発表した。JR東日本もコロナ禍以前から地域の特産品を東京駅まで運び、催事場で販売する新幹線物流トライアルに取り組んでいたが、これを拡大し、定期輸送の拡大や、グループ外の新規荷主の獲得、また物流企業と連携し、地域の特産品を自宅まで配送するサービスの実現などを目指す。

 もっとも、新幹線を活用した荷物輸送は今に始まったことではない。国鉄時代の1981年には、東海道・山陽新幹線で書類などの小荷物を運ぶ「レールゴー・サービス」がスタート。東海道・山陽新幹線のサービスは2006年3月に廃止されたが、1982年に開業した東北・上越新幹線のレールゴー・サービスは存続しており、JR東日本の荷物輸送はこのノウハウを活用したものだという。

 しかし、15年前にレールゴー・サービスを廃止した東海道・山陽新幹線でも荷物輸送を復活させようという動きがある。JR西日本は今年1月18日の定例社長会見で、山陽・九州新幹線と北陸新幹線を活用した荷物輸送の事業化を検討すると発表した。荷物輸送への参入の狙いは何なのか。JR西日本営業本部マーケティング戦略担当・内山興課長に話を聞いた。

――荷物輸送の仕組みは?

 物流事業者から輸送を受託する形で行う。荷主から駅まで物流事業者がトラックで輸送し、駅の荷さばき場からホームを経由して新幹線への積み込み、また新幹線から在来線への積み替えは、旅客の安全上の問題もあるため、ノウハウのあるJR西日本のグループ会社に委託する。新大阪駅については、新幹線ホームはJR東海、在来線ホームはJR西日本の管轄なので、両社で連携して荷物を引き継ぐ。

 荷物は、現在は使われていない車販準備室に搭載する。この部屋には業務用のドアが付いており、ホームから直接荷物を運び入れることができる。旅客用のドアを使用して荷物の積み込みを行うのでは、旅客の乗降が完了するまで待たなければならず、45秒の停車時間では間に合わない。搭載量は段ボール8箱くらいになる見込みだ。

――新幹線を活用した荷物輸送はいつから検討していたのか?

 新幹線の空きスペースを使った荷物輸送の収益事業化はコロナ前から中長期的な課題として検討していた。副次的にモーダルシフト、CO2削減などの社会的な課題の解決も狙ったものだったが、ここ数年はインバウンドと景気の良さに支えられ、本業の旅客需要が伸びていたこともあり、経営課題の優先順位は低かった。