株式の空売り禁止Photo:SOPA Images/gettyimages

新型コロナウイルス感染拡大によって世界株式市場の不安定要因が拡大し、韓国など12カ国が株式の空売り取引を制限。多くの国は数カ月後に制限を解除したが、韓国は2021年3月まで延長し、さらに今月3日には5月2日まで延長することを決めた。なぜ韓国株式市場は「株式の空売り禁止」を求めるのか?そこには特殊な事情があった。(法政大学大学院教授 真壁昭夫)

世界で「マネーゲーム」の兆し
韓国では空売り禁止の再延長が決定

 米国をはじめ、世界の株式市場において「マネーゲーム」の兆しが出始めた。

 マネーゲームとは、読んで字のごとく「お金のゲーム」だ。人々が株価の上昇を信じて、ゲーム感覚で株式などを売買する行為である。現在のように世界中に「お金が余っている」状態のとき、余ったお金の一部が上がりそうな株式への投資に向かいやすい。

 そこはまさに、ゲーム感覚で売ったり買ったりする。するとどうしても無節操なゲームになりがちで、市場が大きく動いて不安定化することが多い。

 韓国では、個人投資家による「韓国株式投資連合会」が政府に、株式の空売り禁止の延長を求めるキャンペーンを実施、広報活動のためのバスも走っていたという。それだけ自分たちの行動を正当化し、株式を買いたいと考える投資家が多いということだろう。文在寅(ムン・ジェイン)大統領にとって、その要求は軽視できないかもしれない。