マネーゲームの鮮明化と
株価調整への不安

 今後の展開を考えたとき、短期的には、韓国をはじめ世界的に株価は高値圏を維持するだろう。

 各国の中央銀行は、低金利環境の維持を重視している。米国では現金給付が実施され、カネ余り環境が追加的にサポートされている。それが、個人投資家と機関投資家の楽観を支える。

 各国の企業業績も相応に良い。個人マネーの流入によって銀先物も上昇するなど、リスクテイクを我慢できない投資家は増えている。空売り禁止の延長を求めた韓国個人投資家は、その象徴的な存在の一つといえる。

 ただし、未来永劫、株式などの資産価格が上昇し続けることはない。歴史を振り返ると、マネーゲーム化が鮮明となった結果、株価は大きな調整を余儀なくされた。

 米国株式市場での特別買収目的会社(Special Purpose Acquisition Company/SPAC/買収を目的に設立された会社)上場の増加に関して、「リーマンショック前の一部投資家の熱狂ぶりをほうふつとさせる部分がある」と警戒する投資家もいる。ビットコインの上昇にも同じことがあてはまるだろう。株式市場におけるマネーゲームの広がりは、世界的兆候だ。

 韓国では首都圏の不動産価格が高騰し、家計は借入を増やすことによって住宅を取得し、日々の生活を営んでいる。それに加えて、労働争議の激化が若年層の雇用や所得環境を下押ししている。その状況下で株価に調整圧力がかかれば、韓国の社会と経済を巡る心理が大きく悪化することは避けられないだろう。

 そう考えると、高値圏にもかかわらず、韓国の個人投資家が空売り禁止の延長を政府に求め、一部政治家がそれに迎合する姿勢を示し始めたことは、見逃せない変化だ。

 文政権が世論にどのように対応していくかは、韓国だけでなく、世界各国における株式投資家のリスク許容度がどう変化するかを考える、重要な視座となろう。

(法政大学大学院教授 真壁昭夫)