米長期金利が節目の1%越え
FRBは低位・安定に誘導できるか
米連邦準備理事会(FRB)が昨年3月に下限政策金利を1.5%から0%に引き下げた後も、米10年金利(米長期金利)は安定的に推移していた。米長期金利は、4月から10月までは0.6%~0.8%という狭いレンジを中心に推移し、11月の米大統領選で財政拡大を公約とするバイデン大統領が勝利しても1%以下に留まっていた。
しかし、民主党が年初にジョージア州の決選投票に勝利し、上下両院で多数派となることが決まると、財政支出が大幅に増加するとの懸念が高まり、米長期金利は節目の1%を超えて上昇した。
バイデン大統領は、景気対策の第一弾として1.9兆ドルのコロナ対応の追加経済対策を打ち出しているが、第二弾となるインフラ投資などの歳出を拡大する計画も、今後発表すると予想される。
米長期金利の大幅な上昇は、米国株を下落させる要因になるだろう。米国景気の回復を後押しするには、米長期金利は安定した方が望ましい。FRBは今後、米長期金利を低位で安定させられるかを考えるために、2008年からの量的緩和時の米金融市場の動向を確認してみよう。