「こんまり」こと近藤麻理恵は、「片づけ」プロフェッショナルとして世界で最も知られる日本人の一人。麻理恵さんの世界進出の戦略を手掛けてきたのがプロデューサーであり夫でもある私の初の書籍『Be Yourself』が発売されました。本書で伝えたかったのは自分らしく輝くことの大切さ。今回はまさにそれを体現している作家の岸田奈美さんをお招きして、「自分らしく輝くために必要なこと」について話を聞きました。『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』もベストセラーとなった岸田さん。前編(「作家・岸田奈美が自分らしく輝く転機で現れる「妖精おじさん」とは?」、中編(「承認のシャワー」を浴びせたある編集者が岸田奈美を輝かせた」)に、後編では「自分が求められる場所」をどのように見つけていくのかについて語り合った(構成:宮本恵理子)。

撮影:竹井俊晴

川原卓巳さん(以下、川原):対談の中編(「承認のシャワー」を浴びせたある編集者が岸田奈美を輝かせた」)で岸田さんは、自分に対して承認のシャワーを浴びせてくれる人の存在が大切だとおっしゃいましたよね。僕もその考えに大賛成です。そして、そういった人に出会えるまで、自分の足で歩いていくアクションもとても大切だと思ってます。

岸田奈美(以下、岸田):加えて言うなら、何も生み出していない人なんていませんよね。それは、うちの弟に教えてもらいました。

 障害のある弟は、世間の基準で見ると役立たずなんです。歩くのも遅いし、言葉も流暢にしゃべれないし、生産性という点ではほぼゼロに近い。

 でも、弟と出かけると起きることすべてがエッセイになるんです。行く先々で、誰もやらないことを平気でやっちゃうから、全部ネタになる。私が本(『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』)を出せたのも、おとんとおかんと弟がいたから。私はただ、家族の中で起きたことを文章にするメッセンジャーの役割を果たしているだけなんだと思っています。

 だから、本の印税全部、家族のために使ったんですよ、振り込まれる前に。

川原:どういうこと?

岸田:外車のボルボを買ったんです。私、免許持っていないのに。なぜボルボかというと、死んだおとんが乗っていたんです。頑丈で美しいボルボを通して、父の美意識を家族に伝える手段がボルボだった。

 すごく大事にしていたクルマなんですけど、父が死んだ後は維持費が払えなくて泣く泣く手放したという経緯があって。そのことがずっと引っかかっていて、おかんとずっと「いつか二人でお金を貯めて、ボルボを買い戻そうね」と言っていたんです。

 といっても、私もそれほど稼いでいるわけではないので「死ぬまでに買えれば」くらいの計画だったんです。でも車椅子で乗れるボルボの生産が2020年で終わるという衝撃的なニュースが飛び込んできて。だったら今しかない!と思い切って、全部私財を突っ込んで購入したんです。これができたのも、私に伴走してくれる人たちのおかげだって、感謝しています(記事は「全財産を使って外車買ったら、えらいことになった」)。

川原:涙なしでは聞けない。いい話だ……。