二人以上からほめられたことは何ですか?
川原:掛け算の視点ですよね。もし自分一人で考えても答えが出なかったら、周りに聞けばいい。僕のようなプロデューサーって、まさにそういう役割を果たせると思っています。
岸田:私が好きな漫画『宇宙兄弟』の中で、「一人からほめられたことはお世辞かもしれないが、二人からほめられたことは真実と思っていい」というようなセリフがあるんです。
だから、二人以上からほめられることを見つけようとすればいいんじゃないかなって思います。「自分の得意なことを書き出してみましょう!」とかよく言われるけれど、案外自分では出てこないから。
川原:僕は逆に、本(『Be Yourself』)の中で「不得意なことややりたくないことを書き出して、残ったものから絞っていこう」と伝えています。
岸田:絶対にそっちのほうが近道だと思います。あとは、目利きの人に聞きにいくとか。「私なんて」と思わずに素直に聞いてみる。糸井(重里)さんや佐渡島(庸平)さんと接していて感じるのは、あの方々は、「自分が見いだした誰かが活躍するのを見るのが大好き」なんですよ、多分。
川原:分かる!「ほら、言った通りに輝いたでしょ」と証明するのが大好物な方々。
岸田:求められているかを見極めるためにも、ひとりよがりにならずに、周りの意見を参考にしたほうがいいですよね。
私はずっと読書感想文は苦手だと思っていたんですけど、あるとき、村上春樹さんに読書感想文を書いて送ったら、突然「村上春樹」というサインだけが書かれたポストカードが送られてきたんです。それで、「私、読書感想文で生きていけるかもしれん」と思えました。だから、読書感想文フェスをやろうという発想につながったんです。
川原:この人の言うことなら信じられる、という誰かからエールをもらえたら強力ですよね。自分と同じような人がいる環境に閉じこもっていたら見いだされない才能も、越境して、外の世界に出てみたら際立つ、ということもすごく多いです。
無理してとんがったり、引っ張り上げたりしなくていい。ただ移動するだけ。それだけで素の力が輝く。このことを本当にみなさんに伝えたい。
岸田:私も本気でそう思います。例えば、私が日頃大変お世話になっているマネジャーの武田さん。すばらしいスケジュール管理力や気遣いの心にほれぼれするわけなんですが、これって主婦力の応用だと思うんです。家庭の中では埋没している才能が、外に出たらすごい重宝されて、稼げる力になる人はたくさんいると思います。
川原:完全同意。もしも現状に不満があるとしたら、外に出て、自分の力を発揮してみたらいい。でも「怖くてできない」と閉じこもってしまう人が多いのもまた事実ですよね。